2.5次元舞台の「通わなきゃいけない」呪いから抜け出せた話

趣味

皆さまこんにちは。

趣味の一つが観劇のえいせと申します。

ジャンルは幅広く割となんでも抵抗なく。

同時に2次元のオタクでもあるので、好きな作品が舞台化されたら2.5次元舞台にも足を運びます。俳優推しではなく作品推しのオタクなので、俳優もしっかり覚えるけど俳優の追っかけにはならないタイプ。その代わり、作品のオタクなので舞台がシリーズ化されると何としてでも毎作品通いたくなってしまう性分です。

とはいえ、財力があるわけでは無いしむしろ貧困な家計。それでも舞台をはじめとしたエンタメが好きだからそこにお金をかける人間です。

そんな私が、とある2.5次元舞台に対して「行かねばならない」という呪い(オタクとしての義務感)から抜け出せた話です。

己のオタ活の在り方がちょっと苦しいなと感じてしまった人へ、何か参考になれば。

※結婚等生活環境が変わったからオタ活見直した、とかいう話ではありません。貧困オタクが身の丈にあったオタ活を考えられるようになった話です。

きっかけはチケットが取れなかったから

呪いから抜け出せた一番のきっかけから申し上げると、公演が人気でチケットが取れなかったからです。

シリーズ初演からずっと毎回1公演は必ずチケットが取れていたので、「前回観て楽しかったから今回も見たい!」がずっと続いていましたし、「ここまで来たら次も見るぞ!」というわけの分からない義務感が出ていました。趣味に義務感が出るとそれはもう楽しめなくなるとよく言いますけど、今振り返るとその通りだなと思います。完全に義務になってました。

当日券抽選にまで並んだけど観られないことが確定してしまった瞬間、「あ、もう行かなくても大丈夫かもしれない」と不思議と劇場の前で吹っ切れてしまいました。冷めたというよりは、憑き物が落ちた感覚です。

多分、自分の中では行くことで絶対の幸福感は得られていた反面、実は不満な点もあったのが積み重なっていたんだろうなと思います。チケットが取れなかったという強制的な連続観劇記録が絶たれたことで、それを自覚できた気がしました。見られないなら義務でもなんでもないし、そもそも義務じゃない。

別にその舞台シリーズが嫌いになったわけではないので、動向は把握しつつ現在は様子見といった感じです。

ちなみにこれはコロナ前の出来事なので、今ほど配信も無くて観る手段が円盤購入以外無かった頃の話です。でも私は舞台は生で観たい派なので、円盤を待つという考えはありませんでした。(実際に観て、また映像で見返したいなと思ったもののみ円盤は買うようにしています)

よくよく考えたら、もう自分の好みの舞台ではなくなっていた

吹っ切れたことで、自分がその舞台に対してどう思っていたのかを冷静に見つめ直すことができました。

私の場合は以下のようにいくつか思うところがありました。

ファンサが売りになっている

2.5次元舞台ではよくある「客降り」(俳優が客席通路に降りてきて演技をすること)がその舞台では売りの一つになっていっていました。初期はファンサービスと演出を兼ねていたのですが、だんだんと客降りが増えて客降り(=ファンサービス)至上主義みたいなところはあったと思います。

2次元から3次元へと出てきたキャラが目の前を通りすぎる、というだけで凄く嬉しいしキャラの存在を感じられるのは幸せでした。後方席でも通路沿いの席だった場合は、前方席並みの嬉しさもありました。

しかし、同時に私は舞台を観に行っているのです。役者が舞台から降りているということは、場所によっては役者が全く見えない虚無時間が発生します。声は聞こえるけど。

そういうエンタメとしては十分楽しいけど、観劇体験としてはなんだかなぁと思ってしまう自分がいました。この何も見えない時間 is 何?

普通に芝居が観たいので、ファンサは嬉しいけどそんなにたくさんいらない……。板の上で芝居をしてくれ

この舞台の方向性と、私が求める観劇体験がちょっとズレてきていたなという明確な部分はこれでした。

コロナ以降はどの舞台からも客降りがなくなったので、例に漏れず客降りは現在無いようですが、色々緩和されたら徐々に復活するんだろうなと思っています。

日替わりが内輪ネタになっていた

これも2.5次元あるあるの、日替わりアドリブネタシーン。ある種の大喜利コーナーですね。他キャストの早着替えの尺調整などでも発生します。

ここがどんどん内輪ネタになっていて、通っていないとボケの意味が通じなくなっていました。それまでの公演の日替わりボケにさらにボケを重ねてきた時は、全然意味がわかりませんでした。通ってるオタクもいるけど、1公演だけを楽しみに来ているオタクもいるからね???

チケットがなかなか取れなくてリピートし辛いのに、そこで内輪ネタかまされても……うん…ちょっと疎外感。文脈が分からないからなんで面白いのかが分からない。虚無

チケット価格に疑問をもった

初期に比べると箱も大きくなり、予算も増えたのか演出も豪華になったのは大変喜ばしかったのですが比例してチケット価格も上がりました。

チケットの申し込みも円盤先行やら何やらとどんどん複雑になっていくし。

増税の影響もなくはなかったと思いますが。

貧困オタクはチケット代の捻出が自転車操業になりがちでした(気づかない振りをしてたけど)

2.5次元舞台って、演出や衣装造形が特殊だったりするせいかチケット価格が高いんですよね。座席グレードも一般席とプレミアム席(前方確保&オリジナルグッズ付き)の2パターンが多くて割安の座席ってほぼ無いですし。他の商業演劇に比べると、節約してもお金がかかるなあと思います。2.5次元の公演の前後に他の商業演劇を一番安い席で見に行くと、この値段でこの体験……コスパが良すぎる、とどうしても比較しがち。

それでも次も行きたい!推しキャラを見たい!って思うから、脳死で次回公演の先行抽選に応募していました。だけど、その金額に見合った観劇体験になっていたか?と聞かれると微妙だったことも正直あります。何せファンサが売り。ファンサがあまりもらえない=何も見えない虚無時間が発生する位置の座席になったときの微妙な気持ち。惰性でチケット取ってたところもあったと思うので、キャラが目の前に存在することにすっかり慣れてしまっていたのも良くなかったんですよね。個人的には。

もちろん、その金額を出す価値があると思っている方を否定するつもりはありません。これはもう金銭的な価値観の問題。というかよっぽど大きな劇団とかじゃないと割安チケットって設定できないんですよね。舞台興行におけるチケット代って本当に収益の一部ですし。どうしてもチケットが捌けない場合は特別料金とかで売られることもありますが。

そもそも脳死でチケット申し込みしてるのがよくない。ちゃんと考えて金を使え。身の丈にあったオタ活をしろ(自戒)

キャストもスタッフも変わってしまった

シリーズを長く続けると、当然キャストが変更されたりスタッフが入れ替わったりします。

あまり気にしないようにしていたのですが、気づいたら初期と比べるとほとんどキャストやスタッフが入れ替わっていたんですよね。私の推しキャラも当然キャスト変更されました。

まあ俳優も人間ですし、他の大きな作品が決まって役者として大成していくのなら全然OKだしいいことだなと思います。

次を引き継いでくれる新しい俳優さんが嫌だったとかはありませんが、やはり私が一番好きだった頃はもう終わってしまったんだなと冷静にキャスト・スタッフ一覧を眺めました。

受け入れられなかったというよりは、やはりこれも私の好みとズレてきていたというだけなんですけどね。これはこれで良いんだけど、あれを超えてくるものは無いという感覚。

惰性と脳死でチケット確保することをやめる

そんなこんなで、推し作品の舞台に行くことが義務ではないと理解できた今では、好きな作品が舞台化しても惰性と脳死でチケットを取ることをやめることができました。

新しく舞台化された好きな作品については、一度は観に行きます(見ないと良さはわかりませんし、やはり自分で体感してこそなので。そこは譲れない)。その続編制作が発表された時、本当に次も観に行くべきなのか一呼吸置いて考えるようになりました。

続編でブラッシュアップされて良くなることもありますし、続編に推しキャラの一番の見せ場があるということもあります。

推しの見せ場が確約されていることが分かっている場合や、制作などスタッフ変更があってちょっと変わりそうだぞ?という時は行くことを前向きに検討しますが、初演の体感で夢中になるほど刺さらなかったら一旦保留にします。

可もなく不可もなく、なラインの場合はチケット取れたら行こうねの緩い気持ち。

狂うほど浴びたい!推しキャラの出番が確定してる!ってなったら容赦なくチケット戦争に参加する気持ち。

原作は好きだしキャラの完成度も良かったけど、なんだかしっくりこない時&推しキャラの出番はあまり無い時は見送る気持ち。

大体こんな感じで時間を置いて判別して、チケットを取るようにしています。

最近はコロナ禍の影響で初日や千穐楽の配信がされる舞台がかなり増えましたので、生で見たいけど配信で我慢……という選択肢が増えたのはありがたいです。生で見ないと伝わらないものは多くあるけど、「通わなきゃいけない呪い」の無駄な義務感からは一歩引いたところに立てると思いました。

まぁ買える公演全部買ったら同じようなものなんだけど!!脳死と惰性で現地に通うよりはオタ活との上手い距離の取り方はできるんじゃないかな思います。

でも現地って最高だよね!わかる!!行けるなら行きたい。運営に還元したい。エンタメって売れないと本当にお金にならないのわかってるからできる限り還元したい。この世界に推しを具現化してくれてありがとう!!この舞台に関わってくれた人々ありがとう!!!舞台配信という形で作品を恵んでくれてありがとう!!!!

そんな感謝と共に、呪いから解き放たれてそこそこの理性をもってオタ活を楽しむようになれました。

義務という呪い状態の頃を振り返って後悔したかと言われると、そんなことはないしすごく楽しかった思い出もたくさんあります。

でも、ちょっと考えて自分にあった楽しみ方をしている今はとても気が楽だなと感じています。

そんなことを考えるアラサーの夏の終わり。

それではここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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